地理に関する英語 と 定冠詞の「the」

Luke

こんにちは、イギリス生まれ・東京在住、英語教師で作家のLukeです。今週、僕が書いたオノマトペ(擬態語・語音後)についての本 が出版されました。是非チェックしてみて下さい!

今回は「the」という定冠詞と地理に関する英語についての話をします。
通常の英語では名前の前にに定冠詞を付けません。ただ、地名の種類によって、名前に「the」を付ける場合があります。
この使い分けが難しいので、まず、「the」の感覚についてもう少し考えてみましょう。
基本的には「the」と言われたら、ネイティブの頭の中ではどういうイメージが浮かんでくるのでしょうか?
会話の中だったら、一緒に決めた、あるいは共有している対象に対して「the」という言葉を使います。
あとは、「これじゃなくて、いやそれじゃなくて、ああこれだ」といった何かを選んでいるような感覚も定冠詞には込められています。
定冠詞は何かを定めているので、定冠詞が付いている言葉には雄大な強いイメージがあります。
このネイティブの感覚を念頭に置いて、地名の英語と定冠詞の関係を考えましょう。
次のような地理の名前には「the」を付けません。

大部分の国の名前
Japan, France, Germany

都市、町、周
Birmingham, Tokyo, New York, London

一つの山の名前
Mount Fuji, Mount Everest

一つの湖の名前
Lake Michigan, Lake Titikaka

小さい湾の名前
Tokyo Bay

大陸の名前
Asia, Europe, Africa

一つの島の名前
Staten Island, Sicily

次のような地理の名前には「the」と付けます。

川の名前
the Nile, the Amazon

海の名前
the Pacific, the Sea of Japan

地域の名前
the Middle East, the West

大きい湾の名前
the Gulf of Aden, the Persian Gulf

森の名前
the Black Forest

砂漠の名前
the Sahara Desert

半島の名前
the Iberian Peninsula

列島の名前
the Alleutian Islands

山脈の名前
the Andes, the Himalayas

一部分の国の名前

republic, kingdomとstatesという言葉を含んでいる国の名前
the Republic of China, the United Kingdom, the United States of America

複数形の国の名前
the Philliphines, the Bahamas, the Netherlands

この規則は複雑に感じるでしょう。でも、僕が最初に書いたことを考えると、もう少し簡単になると思います。 繰り返させてください。ネイティブにとっては定冠詞が付いている名前にはもう少しインパクトがあったり、重要なイメージがあります。
例えば、一つの山の名前だと、定冠詞が付いていないけど、山脈の名前には定冠詞が付いています。小さい林の名前には定冠詞が付いていないけど、大きい森だと定冠詞が付いています。また、小さい湾だと、定冠詞が付いていないけど、とても大きい湾だと定冠詞が付いています。湖だと、定冠詞が付いていないけど、大きい川や海だと定冠詞が付いています。
こういうふうに考えると、以上の規則を身につけるのはそんなに難しくないかもしれません。ただ、国の名前や大陸の名前の場合は、このように考えないでください。これらは例外として覚えていたほうがいいと思います。
建物の名前や都市の場所の名前も、基本的に地名の場合と同じ規則に従います。
次のような場所は定冠詞が付いていません。

道の名前、スクエアの名前
Times Square, Oxford Street

店の名前、家の名前
Selfridges, Boots, Walmart, Hampton House

お城、教会, 宮殿
Exeter Cathedral, Leeds Castle

次のような建物は定冠詞が付いています。

有名なホテル、有名なレストラン
the Ritz, the Strand

大きい美術館、大きい博物館
the British Museum, the Louvre, the Metropolitan Museum of Art

有名な建物(いつもではない)
the Empire State Building, the Taj Mahal

居酒屋
the King’s Head, the Queen of Hearts

建物の場合は、地理と同じように、定冠詞には重要または豪華なイメージがあるので、
有名な建物や大事な建物にはよく定冠詞が付いています。しかし、建物の場合は例外がいくつかあります。
お城、宮殿、教会のような大事な建物は定冠詞が付いていません。しかし、居酒屋には定冠詞が付いています。
これは居酒屋が重要だからっというより、これはイギリスでは居酒屋の名前は少し
地理の英語と定冠詞の使い方を身につけるのはやっぱり難しいことだと思います。
でも、定冠詞の雄大な感覚を覚えておくのは役に立つと思います。
この話題についてのクイズを受けてみない?
英語の地理の名前と「the」という定冠詞のテスト

7 件のコメント

  • 長い間、名詞の前に付けるthe について分からなくて困っていました。
    親切で分かりやすい説明をしてくれてありがとうございます。
    ところで複数形の国の名前にthe を付けるとありますが、the Netherlands って、一カ国なのになぜいくつもの国が集まったような・・・landsという複数形になっているんですか?

    • Hello Kai,
      Thank you very much for your comment. Although the Netherlands is now only one country, hundreds of years ago the Netherlands was actually a bunch of different countries. They included places such as Lotharingia, Luxembourg, the City of Flanders, and the Dutchy of Boullion. In the nineteenth century, these countries united to form the United Kindgom of the Netherlands. A couple decades later, due to differences in language and culture, the kingdom separated and formed modern day Luxembourg, Belgium and the Netherlands. The Netherlands still retains the “s” on the end of its name even though it is now only one country. I hope that answered your question.
      Luke

  • いつも、ネイティヴの意見として参考にさせてもらっています。TwitterもFbもずっと前からフォローさせていただいています。我々、ノンネイティヴが分かりにくいところや、誤解しやすい部分を的確に案内して頂き感謝しています。今回も、有名な建物など、theを付ける場合と、付けない場合を、(いつもではない)と表示されていますが、どちらでも良いということでしょうか、何か微妙な受取り方の違いはあるのでしょうか?ex. (the) Eiffel Tower
    Mr. Obara

  • 「複数形の固有名詞にはtheがつく。単数形の固有名詞にはつかないが、例外があって、川、海などなど。」と覚えていて、それで間違ったことはありません。Lukeさんの言っている「大きい、小さい」というイメージの違いによる区別は、nativeの感覚にもとづいているので例外が多すぎ、non-nativeには不便だと思います。国の名前でも、アメリカやフィリピンは複数形だからtheがつきます。the United Kingdom of Great Britain and Northern Irelandなどは、固有名詞どうのこうのではなく、of ~で後ろから修飾されているからtheがついているのです。

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    記事を書いたLukeについて

    英語の教師と作家。父はイギリス人、母はアメリカ人。イギリス生まれ、13歳でアメリカへ。卒業後はワシントンDCで記者。現在東京に在住。著書に『この英語、どう違う?』(KADOKAWA)、『とりあえずは英語でなんと言う?』 (大和書房)、など。NHK基礎英語1と婦人公論の連載。