本来、sticky は「ネバネバする」や「べたつく」という意味になります。例えば、図工でノリを使った子供は、よく指が sticky になりますね。また、シナモンなどが入っていてベタベタしている sticky bun という菓子パンもあります。sticky は形容詞で、「貼り付ける」を意味する動詞 stick に由来しています。貼り付くものは、ベタベタしている、つまり sticky な場合が多いでしょう。
厄介な状態
厄介なことになった際に、イギリス人はよくsticky を使います。この場合、sticky はsituation、problem、patch などの単語と使います。
つまり、この sticky というスラングは「厄介な」や「面倒な」のような意味になります。似ている英語の形容詞は difficult や awkward です。通常、sticky situationなどは
大変な状況に対して使いませんが、たまにイギリス人は非常に大変な目に遭う時にも sticky を控え目な表現として使います。
イギリス人は何かを表現する際には、大げさに言うより、控え目に言う傾向があります。これはBritish understatementと呼ばれています。一方で、アメリカ人はよく大げさに言う傾向があります。この文化の違いのせいで、朝鮮戦争の時に、sticky に対する解釈の問題で、非常に多くのイギリス人の軍隊が亡くなりました。1951年に、650人のイギリス人のグロスタシャー連隊はイムジン河で1万人の中国人と戦いました。グロスタシャー連隊にとって完全に不利な状況でしたが、同盟国のアメリカ人の将軍が、
と聞くと、イギリス人の将軍は
A bit sticky, things are pretty sticky down there.
ここでの状況は少し厄介、いや結構厄介ですね
と答えました。イギリス人は、「今の状況は非常に大変だ」と言ったつもりでしたが、アメリカ人は「今の状況はそれほど悪くない」と受け取りました。それなので、アメリカ人は増援部隊を送らなかったのです。
結局、グロスタシャー連隊は勇敢に戦いましたが、約500人のイギリス人が捕虜になったり亡くなってしまいました。この悲劇が起きたのは、イギリス人の将軍が、アメリカ人が理解出来ない、控え目な表現の sticky を使ったせいでした。
天気の使い方
sticky は蒸し暑い際にも使えます。これは、muggy や hot and humid という英語に似ています。
I hate this hot and sticky weather. I’ve had to change my shirt twice already.
この蒸し暑い天気超いやだ。もう2回もシャツ着替えちゃった。
sticky fingers
通常、sticky fingers は、指先がベタベタしている際に使いますが、もう1つの使い方もあります。それは「物を盗む癖がある」です。
Best watch your stuff. She has sticky fingers.
自分の持ち物に気をつけたほうがいいね。彼女は盗み癖があるから。
‘結構’ではなくて’傾向’ですか?
Rolling Stones!
偏見? イギリス英語 きれい! 分かりやすい!
I’m glad you think so!