英語のcalque – なぜ枕詞と武術は両方ともcalqueなのか?

Luke

こんにちは、イギリス生まれ・東京在住、英語教師で作家のLukeです。今週、僕が書いたオノマトペ(擬態語・語音後)についての本 が出版されました。是非チェックしてみて下さい!

言語学において、calqueとは逐語的に、つまり一語一語同じ言葉を使った翻訳を通して他の言語から借用した単語またはフレーズです。英語にはたくさんの面白いcalqueがあります。例えば、中古品を売る野外市であるflea market(ノミの市、古物市)はフランス語のmarché aux pucesから来ており、これは market with fleas(ノミのいる市)という意味です。この理由ですが、この名前はもともとノミがいる可能性のあるような粗末な中古品を専門としたパリの市場につけられた名前だったのです。

一般にみられるcalqueとしては他にパソコンの mouse(マウス)があります。パソコンの mouse(マウス)は英語における動物のmouse(ネズミ)から来ています。そして多くの他の言語にはドイツ語のMaus(ネズミ)のように、この単語のcalqueがあります。日本語ではmouseはマウスですね。しかし、もし日本語にパソコンのmouseのcalqueがあったらそれはきっとネズミだったでしょう。なぜならそれがこの英語の文字通りの正確な翻訳だからです。
英語におけるのcalqueの多くがフランス語と中国語から来ているようです。例えば、喉仏を意味するAdam’s apple(アダムのリンゴ)はフランス語のpomme d’Adam(喉仏)ののcalqueです。見かけだけ強いという意味のpaper tiger(紙の虎)は中国語の紙老虎(張り子の虎)から来ています。春巻きを意味する spring roll(春の巻物)は春捲(春巻き)のcalqueです。洗脳を意味するbrainwash(脳洗い)は洗腦(洗脳)から来ています。これらの単語は日本語でも使われていますね。
日本語に直接由来するcalqueがあまりないということは驚きです。一例としてpillow word – 枕詞、そしてmartial art – 武術があります。最近では、草食男子のcalqueであるherbivore man(草食の男)というフレーズが使われていますが、あまり流行りそうにありません。将来的に日本語から来たのcalqueの英語が増えるといいですね。

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記事を書いたLukeについて

英語の教師と作家。父はイギリス人、母はアメリカ人。イギリス生まれ、13歳でアメリカへ。卒業後はワシントンDCで記者。現在東京に在住。著書に『この英語、どう違う?』(KADOKAWA)、『とりあえずは英語でなんと言う?』 (大和書房)、など。NHK基礎英語1と婦人公論の連載。