英語の無冠詞の使い分け 場所が状態になる時

Luke

こんにちは、イギリス生まれ・東京在住、英語教師で作家のLukeです。今週、僕が書いたオノマトペ(擬態語・語音後)についての本 が出版されました。是非チェックしてみて下さい!

皆さん、質問があります。 どうして、「That’s the school over there.」と言う時は、定冠詞を使うけど、「she’s in school」と言う時は、定冠詞を使わないのでしょうか?

なぜかというと、たまにネイティブは場所を状態であると考える傾向があるからです。 「School」の場合では、時には「school」を物理的な建物であると考えられているし、また時には抽象的な状態であると考えられています。

皆さんがこの場所と状態の区別の感覚をもっと具体的に感じられるように、また想像力を使いましょう!

今回は皆さんがイギリスの五人の家族にいると想像してください。現在の家族でも昔の家族でも、どちらでもよいです。 ただ、その家族の構成は、五人で、寝たきりのお婆さん、工場で働いているお父さん、漁師として働いているお母さん、がり勉の完璧主義の学生の息子さんと学校をサボっているいたずらな娘さんです。

まず、お婆さんの日常生活を英語で説明します。

Most of the time, the grandmother stays in bed worrying about her naughty granddaughter.
「大部分の時間は、お婆さんはほとんど寝たきりで、いたずらな孫娘のことを心配しています。」

どうして, 「bed」の前に「the」がないのでしょうか? この場合は「bed」は物理的なところを表わすというより、お婆さんがベッドにいる状態を表わしているから「the」が使われません。

次は、お母さんの日常生活を説明します。

The mother is a fisherman so most of the time she is away at sea.
「お母さんは漁師だから、大部分の時間は、家にいなくて、海で働いています。」

通常ネイティブは海が場所だというふうに考えているけど、漁師あるいは船員が長い間に海にいる場合は、海にいるがこの人の状態というふうに考えているので、定冠詞がない「at sea」という言い回しがよく使われています。

次は、お父さんの日常生活を説明します。

The father is at work until five in the afternoon. He usually gets home around six unless he goes to the pub.
「お父さんは17時まで仕事をして、居酒屋に行かなければたいていに18時ごろに家に帰ります。」

この場合、「work」は職場というより、お父さんが働いている状態です。 働いている場所を言いたい時は、「the office」が通常使われています。 「Work」と同じようにこの場合「home」もが場所ではなくてお父さんの状態だから「the」という冠詞が使われていません。

次は、がりべんの息子さんです。

The son studies very hard at school every day in the hope that he can go to university by the time he is 16.
「息子さんは16になったら大学に行きたいから毎日学校で必死に勉強しています。」

この場合も、大学と学校は場所であると考えられておらず、息子さんの毎日の習慣と考えられています。

最後は、娘さんの悲しい話です。

Last week the daughter appeared in court for spray-painting graffiti on to a wall at school. She was found guilty, and starting this week she is doing time in jail.
「先週、お娘さんが学校の壁にスプレーで落書きをしたために、法廷に出頭しました。彼女は有罪を宣告されて、今週から刑務所で服役しています。」

この場合は「court」と「jail」は場所ではなくて、「娘さんが出廷している」や「服役している」という意味ですので、娘さんの状態を説明しています。

この無冠詞の名詞はよく「to be」や「to go」という動詞と繋げられています。 以上の通り、「the」をこの言葉の前に入れると、意味が変わってきて、状態ではなくて、バショという意味になります。

もう少し例文を挙げます。  括弧内の言葉が仄めかされています。

He goes to the school.
 彼は学校「を見」に行きます。

He goes to school.
  彼は「毎日」学校に通っています。

She is in jail.
彼女は刑務所にいます。

She is in the jail. 
彼女は刑務所を訪ねています。

ご覧のように、「the」という冠詞は本当に文章の意味を変えることが出来ますよね!

状態という意味がある無冠詞の名詞の一覧

College

Work

Sea

Court

Bed

Home

Church

School

Hosptial (イギリス英語だけは無冠詞)

Jail   (gaol はイギリスのスペリング)

University (イギリス英語だけは無冠詞)

1 個のコメント

  • 市販の英文法書に記述されているような平凡な内容でちょっとがっかり…。ネイティブスピーカーの文法性判断が揺れるような状況下での冠詞の選択に関する規則ないし傾向が知りたい。

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    記事を書いたLukeについて

    英語の教師と作家。父はイギリス人、母はアメリカ人。イギリス生まれ、13歳でアメリカへ。卒業後はワシントンDCで記者。現在東京に在住。著書に『この英語、どう違う?』(KADOKAWA)、『とりあえずは英語でなんと言う?』 (大和書房)、など。NHK基礎英語1と婦人公論の連載。