日本語では、「懐」という単語を使う表現がたくさんあります。例えば、「懐が暖かい」や「懐が痛む」などです。英語でも、pocketという単語に関連するフレーズがたくさんあります。懐を使った日本語のフレーズとちょうど同じ様に、pocketを使った多くのフレーズがお金に関係したものです。イギリスの人々と日本の人々が両者ともお金を仕舞っておくためにポケットを使ったこと、そして両方の言語でポケットという単語がお金を表す隠喩になったということを考えるのは面白いことですね。
in someone’s pocket
よく聞かれる表現のひとつは in someone’s pocketです。これは文字通りにあなたがin someone’s pocket(誰かのポケットの中)にいるという意味ではありません。これは誰かに経済的に依存している、したがって経済的にその影響下にあるという意味です。
Some people wonder whether Trump is in the pocket of Putin.
トランプはプーチンの言いなりだと考える人がいる。
The mafia have a lot of the council members in their pocket.
多くの市議会議員はマフィアの言いなりだ。
out of pocket
これは取引や業務などでお金を失ってしまったときに使われる表現です。例えば、パーティを組織しスペースを借りるためにその使用料として100ドルを支払ったがゲストが二人しか来なくて儲けが40ドルだった場合、60ドルはout of of pocket(損をした)です。
I organized a party last week, but I ended up being 60 dollars out of pocket.
先週パーティを企画したんだけど、結局60ドル損をすることになったよ。
out of pocket は何かについて組織や他の人に請求が行くのではなく、本人が直接支払いをするということを意味するときにも使われます。
Don’t worry. You won’t have to pay for this out of pocket.
心配しないで。払う時に自分のお金を使わなくていい。
名詞の前に使われる場合には、ハイフンを使います。例えば、out-of-pocket expense(現金支払い)は会社などの経費というよりは個人が支払った費用のことです。
line your pocket
最後に、line your pocketという表現があります。衣服の内側に布を張る場合に、lineという動詞を使います。したがって、line your pocket と言う場合には、お金で自分のポケットを裏打ちしているということを示します。言い換えれば、ポケットの中にたくさんのお金を持っているということです。このフレーズはお金を、特に不誠実な方法で儲ける場合に使われます。これは「懐を肥やす」や「懐を温める」という日本語のフレーズに似ているでしょう。
The gang lined its pockets with money from the casino.
そのギャングはカジノで儲けたお金で懐を温めた。
こんにちは、イギリス生まれ・東京在住、英語教師で作家のLukeです。今週、僕が書いたオノマトペ(擬態語・語音後)についての本 が出版されました。是非チェックしてみて下さい!